狼と子羊の物語
「あ…あっ、走ったから…」
「そっか、響君…」
だから、顔が真っ赤なのか…
「ん?」
「何でなにも聞かないの?」
「聞いても、答えた?
思い出したくないでしょ?
裸足で薄着で
ベンチに座り込んでたって事は
誰だってトラウマや思い出したくない
過去一つや二つあるよ
それを、無理矢理聞いてもね
遊紗様が辛くなるだけだよ
まあ、俺が言っても説得力な…遊紗様
泣かないで…?」
「え…ほ、本当だ…え…へへ…」
わ、わたし…より、ずっと大人で
辛い過去を触れてしまったのに私に
優しくしてくれて