さよならでも愛おしい

 彼女はかつてまだ俺が彼女の彼氏だった時にプレゼントしたウサギのキーホルダー通称ウサダーを握り締め泣いていた。

 立ち尽くす俺に気付かない彼女の頬を涙が濡らす。

 俺を思って泣いているのだろうか、そう思うことは都合のいい妄想かもしれない。

 だけど、彼女が握るあのウサダーは紛れもなく俺のあげたモノで、彼女の涙の原因に思い当たるのは絶対的に俺なわけで。

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