さよならでも愛おしい

 その日は帰りが遅くて、きっともう若ちゃんは帰っているだろうと急ぎ足で家に帰った。

 扉の前で深呼吸し、ドアノブを回すが鍵がかかっている。

 物騒な世の中だと言うのに面倒くさがって鍵をかけない若ちゃんが、鍵をかけたのだろうと呑気に思いながら鍵を開けた。

 「ただいまー」

 言いながら玄関に入るも、電気がついていない。

 
< 32 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop