さよならでも愛おしい
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 泣きはらした目で部屋から出て来た若ちゃんは、冷蔵庫から取り出した氷を袋に詰め込み俺の前に座った。

 出て行こうとした若ちゃんを引き止めたのは二時間程前のこと。

 考え直しここに住み続けることを決めた若ちゃんは部屋に閉じこもり出てこなかった。

 恐らくカバンに詰めた荷物を元に戻すついでに泣いていたのだろう。

 泣きはらし真っ赤になった瞳に氷をあて、若ちゃんは俺を見た。

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