運命みたいに恋してる。

運命の始まり

危ない！　……って思ったときは、もう遅かった。


バランスを崩した体がグラリと横に倒れて、すぐに派手な水しぶきが上る。


あとはもう、ゴボゴボという籠った音と、全身を包み込む水の感覚に混乱するばかりだった。


目の前はなぜか夜のように真っ暗で、流れる水の勢いで体がグルグル回転している。


どうにかして水から浮き上がろうと、両手と両足をバタバタ動かしたけれど、どうにもならなかった。


開いた口から水がいっぱい流れ込んでくる。


……息が、できない。苦しい！


パパ、ママ、お姉ちゃん！　助けてーー！


水の中でもがきながら必死に助けを求めていたら、いきなり襟首を誰かにグイッと引っ張り上げられた。


顔が水面からザバッと出て息ができるようになって、夢中で空気を吸い込む。


「しっかり！　もう大丈夫だからね！」


自分の呼吸の音と、川の流れの音に混じって、そんな声が聞こえた。