運命みたいに恋してる。
奥のドアが開く音がして、お姉ちゃんと大地が揃って店内に入って来た。


「大地君、ありがとう。助かったわ」


「遠慮しないで、なんでも俺に言いつけてください」


大地ったらニコニコして、お姉ちゃんに愛想を振りまいている。


実は大地も、『七海が迷子にならないように』って名目で、あたしに付き添う形でカフェ通いを始めたんだ。


あたしをうまくダシに使ったんだろうけれど、これこそ共同戦線だよね。


重い荷物を運んだり、調理の手伝いをしたりして、なんだかんだとお姉ちゃんとの接触をもくろんでいるようだ。


でも思ったほどの成果を上げられていないみたい。


いつもお姉ちゃんの隣でニコニコしてるだけなんだもん。積極性が感じられなくて、見ているこっちがイライラする。


「ふたりとも、今日もありがとう。もう暗いから気をつけて帰るんだよ？」


カウンター席を拭いていた柿崎さんが、あたしと大地に声をかけた。


「はい。お疲れ様でした」


「大地、七海ちゃんをしっかり家まで送り届けるんだぞ？」


「わかってる」


今日もここで無料奉仕タイムの終了。


勉強が本分の学生さんを遅くまで手伝わせられないってことで、閉店まではいられない。


いつも大地と一緒に、ここでサヨナラ、また明日。


そしてあたしは大地に送られ、帰宅するのが日課だった。
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