運命みたいに恋してる。
このカフェのために親身になってくれてありがとう!って、ことあるごとにお礼の言葉を言われるの。


あたしったら、損得を考えずに人に尽くす、心清らかな少女だと思われちゃってる。


その現実とのギャップがねぇ。実際のあたしは、損得なしどころか我欲の塊じゃん。


柿崎さんとお姉ちゃんの関係をブチ壊そうとしているのに、その当の本人たちから、面と向かって感謝されちゃうとさぁ。


「胸の奥がズキズキ、ウズウズと……」


「めんどくせぇ性格だなぁ」


呆れ顔でそんなことを言われて、ムカッときて言い返した。


「苦悩するのが普通じゃん。なんであんたは、そんなに平然としていられるの?」


「やらないで苦しむか、やって苦しむかの違いだろ? なら、やって苦しむ方が百倍マシだ!」


そう言って大地が豪快に笑った。


湿っぽさをまったく感じさせない大地の笑顔を見ていると、自分の気持ちがまた少し、楽になっていることに気がつく。


大地と話してると、どんどん心が軽くなる。だからあたしは、いつもケンカ越しに八つ当たりしてしまうんだ。


あたしの迷いや悩みを、笑い飛ばして欲しくて。
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