運命みたいに恋してる。
「ねぇ、大地。また宣伝チラシ作ってさ、一緒にご近所に配って歩こうよ」


「おう。そういう地道な作業が実を結ぶんだよな」


「今度はどんなデザインにしよっかなぁ。新メニューの開発も急がないとね!」


話しているうちにどんどん楽しくなってきた。


本当に、純粋にお店の為に頑張っているような、そんな気持ちになれる。


……ありがとね、大地。大地のおかげだよ。


大地と話していると救われる。自然に気持ちが前向きになって、明日も頑張ろうって思えるんだ。


「……ありがとう」


「ん? なんか言ったか?」


たこ焼きを含んだ大地のほっぺたが丸く膨らんでいて、あたしはプッと笑った。


せっかくのイケメンがだいなし。でも、こんなお間抜けなところが、けっこうかわいいヤツなんだよね。


「なんでもないよ。最後のひとつ、いただき!」


「あ! 返せ!」


「やーだよ。欲しいなら実力で奪い取ってみなさい!」


最後のひとつのたこ焼きを奪い合いながら、あたしたちは大騒ぎして笑う。


笑いながら、あたしは心の中で大地に深く感謝していた。



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