運命みたいに恋してる。
「病弱な姉を必死に守ってきたんだろ? 黄色い安全帽を被ってるようなチビすけが。誰にでも出来ることじゃないぞ?」


「だってそれは、あたしが優越感に浸っていたから……」


「そりゃあ、立派なことをしたんだから優越感に浸る権利ぐらいあるだろ? だから正々堂々、浸れ。俺が許す」


大地に押された体がふわりと浮き上がり、心もフッと軽くなる。


……ううん、だめだよ。軽くなっちゃだめなんだ。


「あたしは、お姉ちゃんを見下していたんだよ」


「なに言ってんだ。そりゃお前の勘違いだよ」


「勘違い?」


「あたしは頑張ってて偉い! って思うのと、他人を見下すことは一緒じゃねえよ。お前はゴッチャにしてるだけだよ」


しゃべりながら、大地は休みなくあたしの背中を押し続けてくれる。


ふわりふわりと、風を受けて体が浮き上がり、浮遊感に全身が包まれる。


あたしの心と一緒に。


「なぁ、お前さ、一海さんのこと好きだろ?」


「うん」


「じゃあ、間違いない。お前は絶対、好きな相手を見下せるようなヤツじゃない。俺は断言できる」
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