運命みたいに恋してる。
力強い言葉を聞いて、あたしの心の中に風がスゥッと吹き抜けた。


ぼやけた意識がパチッと目覚めるような、爽やかなその風に不思議と心が浮き立つ。


「俺が断言するんだから間違いない。親を亡くした苦労人が言うことには真実味があるんだ。信じろ」


吹き抜ける爽快な風が、心の中の重石を押し流していく。


あぁ、軽くなる。どんどん、どんどん、浮上していくよ。


「……あたしだって親を亡くした苦労人ですけど?」


「お前と俺とじゃ人間の格が違うんだよ、格が」


大地の明るい笑い声が聞こえる。大地の手のひらが背中に当たる。


大きくて固くて、とても温かいその手に背中を押されて、あたしはまたまた浮き上がる。


ふわりふわりと宙を泳ぎ、戻ってくるたびに間違いなく大地の手は、あたしの体を受け止めてくれた。


そしてあたしは、また浮き上がるんだ。風を受けて、ふわりふわりと軽やかに。
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