運命みたいに恋してる。
「あたしは、柿崎さんが好きなんだからね⁉︎」


―― シーン……。


うっかり大声を張り上げたら、それまで大勢の生徒たちの話し声で賑わっていた廊下が、静まり返った。


みんなポカンとした顔であたしを見ていて、すごく気まずい。


大地もキョトンと目を丸くしながら、ポツリと言った。


「……知ってるけど?」


カアッと顔に血が集まって、恥ずかしいやらみっともないやら。


「し、知ってるなら、よろしい!」


捨てゼリフを残し、あたしは大地にクルリと背を向けて、ドスドスと大股で歩き出した。


「おい! この書類どうすんだ⁉︎」


「適当に記入して出しといて!」


「適当って……」


大地の呆れた声が背後から聞こえたけれど、知るもんか!


あんたが悪いのよ! こんな恥かかせてさ!


あぁ、もう! なんかわかんないけどすっごい腹立つ! イライラする!


あたしはグシャグシャと髪を掻きむしりながら、ずんずん廊下を進んで自分の教室へ戻った。


結局それから一日中、どうしようもなく機嫌が悪くって、学校が終わってお店に手伝いに行っても、どうにもおさまらない。


だから大地が話しかけてきても、ツンと無視してやった。


大地は肩をすくめて、「女ってわかんねえ」ってつぶやいていた。
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