運命みたいに恋してる。
◇◇◇◇◇

そしていよいよ、学園祭を迎えた。


カフェ・どりーむは前日から準備で大忙し。


お姉ちゃんなんて、緊張と興奮で夜に熱が出て寝込んでしまって、みんなを心配させた。


お姉ちゃん~。お願いだから二十歳過ぎてから知恵熱なんか出さないで~。


でもお姉ちゃんの体調も、朝にはすっかり元通り。元気に調理作業を始めてくれて、ホッとした。


あたしもエプロンを装着して、やる気満々!


腰に手を当てて仁王立ちして、今日の舞台となる教室内をぐるっと見渡した。


テーブルとイスのセッティング完了。ナプキンの用意も完璧。


黒板はイラストの得意な友達に頼んで、カラフルなチョークでかわいいカフェ風デザインを描き込んでもらった。


今日の働きによって、お店の命運が変わるかもしれないんだから、失敗は絶対に許されない。


勝つんだ! このミッションを必ず成功に導くんだ!


……って、使命感と意欲に燃えまくっているあたしの襟を、誰かがグィッと掴んだ。


「……また! 大地!」


「はいはい。ちょっと座ってもらいましょうかー」


気の抜けた声を出す大地に、あたしは強引にイスに座らされた。


「もう、何よ⁉︎ 忙しいのに!」


「お前、すっげえ顔が怖ぇよ」


「なんだと―⁉︎」


「客商売だぞ? 試合前のプロレスラーみたいな顔すんのはやめてくれ」


そう言いながら大地は、机の上に大きな四角いバッグをドスンと置いた。
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