運命みたいに恋してる。
「なにこれ?」


「俺のメイクボックス」


大地がボックスのフタを開けると、フタと同時に中のトレーも左右に大きく開いた。


「うわあ、すごいね!」


カラフルな化粧品やメイク道具がいっぱいで、なんだか豪華な花束を見ているみたいで、心が一気に華やいだ。


「俺さ、メイクアップアーティストになるのが夢なんだよ」


大地がボックスの中からボトルやブラシを取り出し、それをテーブルの上に並べていく。


「母親の影響だろうな。たぶん」


化粧品会社に勤めていたっていう、大地のお母さん。


そっか。大地は真剣にメイクの仕事に就きたいって思っているんだ。


そのための努力もすでに始めているんだね。


あたしなんて、将来どうするかなんてまだ考えてもいないのに、大地はちゃんと先のことを考えてるんだな。
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