運命みたいに恋してる。
こんなにも長期間、あたしは偽物を大事に抱え込んでいたってこと?


これはショックだ。大切にしていた家宝の掛け軸が、実は三千円くらいのコピー商品でしたってのと同じくらい衝撃。


今までの自分の歴史が、根底から崩れ去る気分だ。


「あたしの十年間は、まるきり無意味な十年間だったの?」


「まるきり無意味だとは思わないけどな。誰に迷惑をかけたわけじゃないし、幸せな十年だったなら、それはそれで価値があると思うよ」


「幸せでは……あった」


たしかに夢見る時間は、最高に幸せだったよ。


完璧でパーフェクトな王子様が、あたしの運命の相手だったんだから。
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