運命みたいに恋してる。
「七海ちゃんのラスボスは大地でしょ? 一海さんが好きな相手は兄の方なんだから。七海ちゃんの敵とはなりえないもの」


「あぁ、そっか」


あたしのラスボスは大地だ。大地のお姉ちゃんへの恋心だ。


それをなんとかしないことには、あたしの勝利はないわけだ。


なのに手元には何の武器もないし、それどころか不利な条件ばっかりで、勝率はかなり低い。


低いどころか、そもそも不戦敗になっちゃいそうな気がする。


「あたしの初めての恋だったのになぁ……」


「過去形にするのは早くない? まだこのさき、どう転ぶかわからないでしょ?」


花梨ちゃんが、あたしの肩をポンポン叩いて優しく慰めてくれている。


そうだね。昨日まであたしたちは絶交中だった。


それが今日、こうして座っておしゃべりして、あたしの味方だって言ってくれている。


まったく、明日はなにが起こるかわかんないよね。


ドブに落っこちるかもしれないし、恋に落ちるかもしれない。


なら、不戦敗と決めつけるには、まだちょっと早いのかもしれない。
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