運命みたいに恋してる。
「いったいなにがあったの!?」


目の前でお母さんが、スッキリ短く切り揃えられた前髪の下の両目を吊り上げて、お姉ちゃんを睨んでいる。


小柄で顔つきが丸くて童顔だけど、お父さんを亡くしてからずっと生活を支えてきた気の強さが、全身から溢れ出ていた。


「……いいから、七海は部屋に行ってなさい」


「よくないよ! このまま部屋になんか行けるわけないでしょ!?」


「たいしたことじゃないから、心配しないで部屋へ行きなさい」


するとお姉ちゃんが、お母さんの厳しい視線を真っ向から受け止めながら大声を上げた。


「たいしたことじゃない!? あたしの結婚話が、たいしたことじゃないって言うの!?」


……結婚!?


聞き慣れない言葉にすっかり驚いているあたしの袖口を、花梨ちゃんがクイクイと引っ張った。


振り向くと、花梨ちゃんが神妙な顔でテーブルを指差している。


テーブルの上には、スーツ姿の知らない男性の写真が乗っていた。


あれは、もしかしてお見合い写真?
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