運命みたいに恋してる。
あたしはその写真をポカンと眺めたまま、お姉ちゃんに聞いた。


「お姉ちゃん、お見合いするの?」


「しないわよ」


即答したお姉ちゃんは、挑むような目つきで宣言した。


「あたしは拓海と結婚します」


「バカなことを言うんじゃないの! よく考えなさい!」


お母さんの声が、どこか遠くから聞こえるような気がした。


お姉ちゃんが、知らない男の人とお見合い?


お姉ちゃんが、柿崎さんと結婚?


話の急展開についていけないあたしを置いてきぼりにして、ふたりの怒鳴り合いが再開する。


「こんな条件のいいお話、もう二度とないのよ!? 一海が病弱なこともよく承知の上で、それでもって言ってくださってるんだから!」


「いきなりお見合いしろなんて言われて、納得できるわけないでしょ!?」


「だから今、こうして話してるんじゃないの!」


お姉ちゃんと、お母さんと、テーブルの上の写真を交互に眺めながら、あたしは頭の中で情報を必死に整理した。
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