運命みたいに恋してる。
「お、お母さん! お姉ちゃんを追いかけなきゃ!」


「いいから放っておきなさい」


「放ってなんかおけないよ! お姉ちゃんを独りぼっちで泣かすなんて、できない!」


やっと体が動くようになったあたしは、弾かれるように玄関に向かって走った。


ちょうど外から玄関に入って来た花梨ちゃんが、あたしを見て叫ぶ。


「七海ちゃん! 一海さん、行っちゃったよ!」


「ど、どこに!?」


「それが、絶妙のタイミングでタクシーが走ってきて、それに飛び乗ってどこかに行っちゃったの」


えぇ⁉︎ おのれタクシー!


お姉ちゃんをどこに連れてったのよ!


「七海ちゃん、一海さんのスマホを鳴らしてみて」


「あ! うん!」


あたしは慌てて制服のスカートのポケットからスマホを取り出し、お姉ちゃんに電話した。


お願い、お姉ちゃん! 出てちょうだい!


祈りながらコール音を聞き続けたけれど、いつまでたってもお姉ちゃんは出ない。


そもそもお姉ちゃんは手ぶらだったし、スマホを持っていないのかも。


イライラが極限に達したあたしは、自分のスマホを床に叩きつけそうになった。


おのれスマホー! いざという時に役に立たないなんて!
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