運命みたいに恋してる。
「もしもし大地!?」


『一海さんが来た。お前も早く来てくれ』


「すぐ行く!」


あたしとお母さんはタクシーを呼んで、大地の家へ急行した。


ジリジリしながら柿崎家に到着して、タクシーから飛び出して玄関のインターホンを鳴らすと、すぐにドアが開いて大地が顔を出した。


「大地、お姉ちゃんは?」


「中にいる。お前も入れ」


「お、お邪魔します」


お母さんと一緒に家に上げてもらって、大地の後に続いて廊下を歩いていると、どこからかお姉ちゃんのすすり泣く声が聞こえてきて、心臓がギュッと痛んだ。


「ここだ」


大地が案内してくれた部屋はダイニングキッチンで、なんだか覚えのあるいい匂いが漂っている。


柿崎さんとお姉ちゃんがキッチンテーブルに並んで腰掛けていて、お姉ちゃんは肩を大きく上下させながら、悲しそうに泣き続けていた。


柿崎さんがお姉ちゃんの肩を抱き寄せて、一生懸命に慰めている。


そのふたりの前には、しかめっ面をした男の人が座っていた。


「あれが俺の親父だ」


大地が耳元でこっそり教えてくれた。


この人が大地のお父さんか。見たところうちのお母さんと同い年くらいかな?


さすが柿崎兄弟の父親だけあって、なかなかのイケメンなおじさんだ。


おじさんは、あたしたちに気がついてイスから立ち上がり、ペコリと頭を下げて挨拶してくれた。
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