運命みたいに恋してる。
「柿崎と申します」


お母さんも頭を下げて挨拶を返す。


「桜井です。突然お邪魔して申しわけありません」


「どうぞお掛けください」


お母さんがイスに座ったら、それで席が埋まっちゃったので、あたしと大地はドアの近くに立った。


あぁ、どうか大人たちが冷静に話し合えますように……。


「それで、柿崎さん。今回の件は、いったいどういうことでしょうか?」


お母さんが、すごくトゲトゲした口調でおじさんに話しかけた。


「どうやら息子さんがうちの娘に、まともな手順も踏まずに結婚を申し込んだようですね?」


お母さんの冷たい口調のせいで、室内の温度が一気に下がる。


ちょっとお母さん。そんな、露骨にケンカ腰な……。


「母親である私に交際の挨拶すらせず、こそこそ隠れて娘に手を出すなんて。父親がいないからといって、うちをバカにしているんですか?」


お母さんはガンガン飛ばしまくった。


これはもう確信犯だ。お母さん、完全に柿崎さんにケンカ売ってるよ!
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