運命みたいに恋してる。
「お母さんは説得できたから大丈夫。そっちの状況は? おじさんの様子、どう?」


『表面上は平気そうな顔してる。内心は動揺しまくりなのがバレバレだけどな。ああ見えて気が小さいんだよ』


大地の明るい笑い声が聞こえてきて、つられてあたしも微笑んだ。


「おじさんのヤケドの具合はどう?」


『平気平気。ちゃんと薬も塗ってるし。背中とかの自分で見えない場所は、俺が塗ってやってるんだ』


「そう」


『親父のケツなんか見たの、初めてだよ。気色悪いのなんのって、もう!』


あたしは声を上げて笑った。


あんなに落ち込んでたのに、こんなふうに笑えることが不思議で、すごくありがたかった。


『あんま落ち込むなよ? 心配なのはわかるけど』


「うん」


『なるようになるからさ。深く考えすぎんなよ?』


「うん」


『七海ひとりの問題じゃないんだ。抱え込みすぎるなよ?』


「うん」


大地は少しでもあたしを安心させようと、繰り返し繰り返し励ましてくれる。


相づちを打つたびにあたしの心は軽くなり、熱くなった。


大地だって平気じゃないだろうに、あたしを心配して電話してくれた優しさがうれしくて、胸が震える。


「ねえ、大地」


『ん?』


「本当にありがとう」
< 215 / 267 >

この作品をシェア

pagetop