運命みたいに恋してる。
手紙はそれで終わっていて、連絡先はどこにも書いてなかった。


一枚の便せんを舐めるように読み終えた後、気が抜けたあたしは、便箋を持ったまましばらく放心状態だった。


几帳面な性格そのままの、きっちりした文字を眺めているうちに、熱い感情がふつふつと湧いてくる。


ねえ、お姉ちゃん。あのね……。


「なにをふざけたことを言ってんの!?」


あたしはグシャッと握りしめた便箋に向かって、大声を張り上げた。


……心配するな?


しないわけないでしょう!?


……そっとしておいてくれ?


できるわけないでしょう!?


これが逆の立場だったら、お姉ちゃんどうなのよ!? 心配しないわけ!?


言われた通りに、ほったらかしにしとくわけ!?


「できるか! そんなこと!」


便箋を握り締める手が、ワナワナと震える。


溜まるだけ溜まった心配が、極限を通り越して怒りに変化してしまった。


そりゃあね、あたしにだって今回の責任はあるよ。


思い詰めたお姉ちゃんの気持ちもわかる。


暴君すぎる親の押しつけも良くない。


……でもねえ! だからってこれはないでしょ!?


『親切にしてくれる周囲の人たちがいるから、幸せです』?


……なにそれ!


あたしたちは家族でしょうが! 血を分けた実の家族でしょうが!


見知らぬ他人のそばで幸せになるよりも、あたしたち家族全員のそばで幸せになってよ!
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