運命みたいに恋してる。
お姉ちゃんたちの話を聞くつもりなんて、少しもなさそうなその様子に、あたしはオズオスと口を挟む。


「ねえ、お母さん。強引に連れ帰るつもり? 本当にここにいるのかどうかも、まだわかんないのに」


「ここに来る前に宿に連絡して、確認したわ。間違いなくふたりとも、ここに住み込みで働いているそうよ。すぐにでもされて帰らなきゃ」


お母さんとおじさんが、鼻息も荒く玄関に向かって歩き出す。


あたしと大地も顔を見合わせ、その後に続いた。


「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました」


玄関に入ると、藍色の着物を着た四十代くらいの中居さんがすぐ出迎えてくれて、にこやかに挨拶をしてくれた。


「あの、先ほどお電話した桜井です。このたびは娘が大変ご迷惑をおかけしております」


「柿崎です。息子がとんだご迷惑をおかけして、申しわけありません」


お母さんとおじさんが揃って頭を下げると、すでに話が通じていたのか、仲居さんはニコニコ笑ってあたしたちをすぐに中に案内してくれた。
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