運命みたいに恋してる。
日当たりのいい廊下を抜けて、あたしたちは応接室っぽい小さな和室に案内された。


「さあ、どうぞ」


茶色い座卓を囲むように座ったあたしたちに、仲居さんがお茶を淹れてくれる。


澄んだ緑色の液体が、急須の口から湯気と一緒にコポコポと流れ出て、煎茶の清々しい香りが鼻をくすぐった。


とてもいい匂いで、気持ちがすーっと落ち着く。お母さんとおじさんの表情も緩んだように見えた。


「それでは、ご家族様で話し合う場をご用意いたしますので、しばらくここでお待ちください」


そう言って仲居さんが部屋から出て行ってから、お母さんはお茶をひと口飲み、ホーッと長く息を吐いた後で、あたしと大地に言った。


「あなたたちは、話し合いの間はここで待っていなさい」


「え!?」
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