運命みたいに恋してる。
「こうなる予感はしてたけどね。七海ちゃん、すっごい方向オンチだから」


ハァーッと大きなため息をつく花梨ちゃんに、あたしはオズオズと弁解した。


「だって我が家は全員方向オンチなんだもん。たぶん遺伝だよ」


そう。あたしのお母さんも、お姉ちゃんも立派な方向オンチ。親戚にも方向オンチがいっぱい生まれてる。


もう、遺伝っていうより呪いに近いレベルで。


ということで、たぶん今回も遺伝子に逆らえずに道を間違えたんだろう。


「それはそうと、花梨ちゃん。ここってどこだかわかる?」


「それをあたしに聞くか!? あたし、スマホ忘れてきたから地図見れないよ」


「わあ、偶然だねぇ。実はあたしも忘れてきたの。やっぱりあたしたちって気が合うねぇ!」


ニコニコするあたしを見て、花梨ちゃんが額に手を当ててガックリと肩を下げた。


「喜んでる場合じゃないでしょうが。七海ちゃんって本当にド天然だよねぇ」
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