運命みたいに恋してる。
不意打ちの賞賛に、あたしは目をパチパチさせた。


好きな人から褒められて、くすぐったい気持ちがじわじわ湧いてきて、口もとが勝手に緩んじゃう。


「そ、そうかな? えへへ」


「自分や人のために最善を尽くそうとするのは、簡単にできることじゃないんだ。それを当たり前にやってるお前は、すごいよ」


「いやあ、そうかなぁ。えへへ」


「そういうところ、俺は好きだ」


「そうか……へ?」


「俺は、お前のそんなところが好きなんだよ。七海」


ワンテンポ置いてから、瞬間沸騰したみたいに顔が熱くなった。


あたしを見ている大地の照れたような微笑みが、ますますあたしの心臓をバクバクさせて息苦しい。


真っ赤になってる姿を見られたくないのに、彫像みたいに突っ立った体は、ピクリとも動かせなかった。


どうすればいいのかわからないくらい、大地からの『好き』というたったひとつの言葉が、あたしのすべてを包み込んでしまったんだ。


でも……。


大きなバルーンみたいに膨れ上がって華やぐ心の片隅で、あたしはちゃんと理解している。


大地の『好き』と、あたしの『好き』は、意味がぜんぜん違うってことを。
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