運命みたいに恋してる。
「お母さんが不幸だの、自分が不幸の原因だのって話よ!」


目を吊り上げているお母さんの隣では、おじさんが腕組みしながら神妙な顔で大地に語りかけている。


「大地、父さんは情けないよ。そんなふうにお前に思われていたとはな」


あたしと大地は顔を見合わせ、それぞれの親をキョトンと見上げた。


えーっと。まさかあたしと大地が話してたことを、お母さんたちがぜんぶ聞いてたってこと?


って疑問が顔に出ていたのか、梅の間の奥の席に座っているお姉ちゃんたちが、こっちを見て苦笑いしながらうなづいてる。


……やっぱり聞かれてた!


なのに自分たちはなにもしゃべらないで、こっちの話だけ聞いてたの!?


盗み聞きか! 趣味悪い!


……あ、そもそも最初に盗み聞きしようとしたのは、あたしだ。


「七海、ちょっと座りなさい」


「大地もここに座れ」


お母さんたちが、あたしたちの目の前にヒザを正して座り込み、あたしと大地もしぶしぶ畳の上に正座した。
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