運命みたいに恋してる。
お母さんとおじさんはキョトンと顔を見合わせて、それから声を上げて同時に笑った。


「するわよ。もちろん」


「ああ、するさ。もちろんな」


なんの問題もなさそうな、あっけらかんとしたその声に、逆にこっちが慌ててしまう。


「え? す、するの?」


「なに? しちゃいけないの?」


「いやいや、いけなくはないよ! でも……」


「心配いらないわよ。お母さんがお父さんを死なせないから」


なんの根拠があるのか、自信満々にそう言い切るお母さんの隣で、おじさんも笑顔で断言する。


「父さんが母さんを守ってみせるさ。運命がわかっているんだから、そうならないように頑張ればいい」


「り、理屈で言えばその通りだけど……でも運命って手ごわいよ?」


あたしは、それを身をもって知ったんだ。


明日、なにが起こるかわからない。わかってるはずの予測すらもひっくり返す。


そんな相手に、どうやって立ち向かうの?


「諦めないことが最大の武器なのよ。お母さんはね、運命に怖気づいて、お父さんやあんたたちを諦めるなんてこと、絶対にしないわ」


「ああ。父さんだってそんなこと絶対にするものか」
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