運命みたいに恋してる。
そんなふたりを見ているお母さんとおじさんは、今までの明るい表情とは打って変わって、なにかつらいことに耐えるような顔をしていた。


苦労するかもしれない娘。


大変な思いをするかもしれない息子。


ずっと必死で守り続けてきた我が子たちの泣き顔を、見ることになってしまうかもしれない。


でも、守り続けた子どもたちは、もう大人になってしまったんだ。


ねえ、お母さん。お母さんの気持ち、よく理解できるよ。


あたしも同じ気持ちだから。あたしもずっとお姉ちゃんを守ってきたから。


あたしがちゃんと分かってるから、だから………一緒にお姉ちゃんを手放そう。


そして後で、こっそり泣こう。


今度はさ、遺影の前でひとりで泣かなくていいから。


あたしも一緒だから……。


「うっ……グスッ」


あたしはもう我慢できずに、鼻をすすっていた。


頬を流れる涙を、大地がハンカチで優しく拭いてくれる。


あたしの隣に大地がいてくれることを、心からうれしく、頼もしく思った。


泣いているお姉ちゃんの肩をしっかりと抱いて、柿崎さんが寄り添ってくれていることも、こんなにうれしくて頼もしい。
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