運命みたいに恋してる。
「受験の日にお前と偶然会ってさ、俺、強烈に運命を感じたんだよ。絶対にこの子と結ばれるって思ったんだ」


熱い胸がギュッとなって、しびれるようだ。


大地のひと言ひと言が、夢みたい。


叶うはずもなかった想いが、まるで心の中いっぱいの打ち上げ花火のように、大きく花開いていく。


『この出会いが、ただの偶然のわけない。俺たちの出会いだって運命だ』


あのとき大地は、そう言っていたね。


大地はあたしに、自分の気持ちを訴えていたんだ。


あたしの涙をハンカチで一生懸命拭いてくれたときも。


ブランコで背中を押してくれたときも。


将来の夢を語りながらメイクしてくれたときも。


お姉ちゃんたちを追いかけて民宿まで押しかけたときも。


いつもいつも、ずっとずっと、大地はあたしを守り支えながら、諦めずに想いを伝えてくれていたんだ。


「お前に言った『運命の恋を諦めるな』って励ましは、ぜんぶ俺自身に言い聞かせる言葉だったんだ。俺にとっての運命の恋を、絶対に諦めたくなかった。たとえお前が、俺の兄貴に運命を感じていたとしても」


涙が一気に込み上げてきて、視界がぼやけた。


目の奥が信じられないくらい熱くて、それ以上に心が熱くて燃えるよう。


大地が、こんなにもあたしを求めてくれていたなんて、夢みたい。


この奇跡のよろこびを、どう大地に返せばいいだろう。


この想いを、どう伝えればいいだろう。


「それで、七海の返事は? ちゃんと聞かせてくれよ」


大地が微笑みながらあたしを見ている。


あたしは顔をクシャクシャにして、激情を必死に抑えた。


ちゃんと心を込めて答えなきゃ。


おそらく大地が一番、望んでいる言葉を。


「あたしもね、大地のことが大好きだよ」
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