運命みたいに恋してる。
「痛ぁー!」


危うくひっくり返りそうになりながら、あたしはヨロヨロと後退する。そしてジンジンするオデコに両手を当てて、痛みと衝撃に必死に耐えた。


「な、七海ちゃん! 大丈夫⁉︎」


「……ム、ム……」


ムカつくー!


あたしが開けようとした瞬間に向こうから扉が開くなんて、なんてタイミングのよさよ!


実はこっそり狙ってたんじゃないの!?


「うわ!? す、すみません! まさか人がいるとは思わなくて!」


男の人の慌てた声が聞こえて、あたしのムカつき指数が余計に上昇した。


『人がいるなんて思わなくて』!?


あのねぇ! ここ、カフェでしょ!?


「お店なんだから、客の出入りくらい考えなさいよ!」


怒りで頭が爆発したあたしは、そこに立っているスタッフらしきエプロン姿の若い男性に怒鳴った。


そして……そのまま硬直した。


「ほ、本当にすみませんでした! ケガしませんでしたか?」


一生懸命に謝罪するその顔を、あたしは穴が開くほど見つめ続けた。いつまでたってもなにも言わないあたしに、彼が怪訝そうな顔をする。


「あの? 大丈夫、ですか?」


「…………」
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