運命みたいに恋してる。
奪い取る?


それってつまり、ふたりの恋の邪魔をするって……あたしの前で宣言してるわけ!?


しかもこんな堂々と悪びれもなく!


「ちょっと、あんた!」


我に返ったあたしは、再び手近な小石を掴んで、すぐ目の前の最低男に投げつけてやった。


軽い小石は肩に当たって、コロンと落ちる。


でもこいつ、あたしが怒り出したのを見て、なんだか妙にうれしそうなんだけど⁉︎


「おお、勢いを盛り返したな? よしよし」


「よしよし、じゃない! あんた本当に柿崎さんの弟!? それにしちゃ性格悪すぎ!」


お姉ちゃんの幸せの邪魔をさせてたまるか!


生まれた時からずっと、夢も希望もぜんぶ諦めていたお姉ちゃんが、人生最大の勇気を振り絞って、やっと掴んだ幸せなんだ。


それをあんたは、ぶち壊すつもりなわけ!?


「お姉ちゃんの恋はね、あんたごときが邪魔していいものじゃない! 特別な意味を持った、特別な恋なんだから!」
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