運命みたいに恋してる。
「で、でもそれは、大地君だけの理屈じゃん」


あたしは、すっかり勢いの弱った口調で、それでもなんとか反論を試みた。


そうだよ。大地君の言ってることは、大地君だけに通用する理屈なんだ。


「大地君は、邪魔される側の都合も気持ちも、まったく考えてあげてないじゃん」


「蹴落とすライバルの都合なんて、こっちが考慮してやってどうすんだよ。俺は俺の都合を最優先するし、向こうが向こうの都合を最優先するのも、ちゃんと認める」


大地君の態度も主張もまったくブレない。


実に自信たっぷりだ。



「そのうえでの平等なガチ勝負だ。なんか問題あんのか?」


「だって……だって、自分の兄でしょ? 自分のせいで傷ついていいの?」


家族なんだよ? 自分の兄だよ? 姉だよ?


大切じゃないの?


大切な存在を、自分のその手で傷つけていいの?


家族の絆が壊れても平気なの?
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