運命みたいに恋してる。
「おい、七海」


「……どさくさに紛れて、さりげなく呼び捨てにしないで」


「いいだろ? 俺のことは大地でいいから。俺たち、共同戦線を張ろうぜ」


「共同戦線?」


「お前、自分が苦しんでた理由がわかったろ? それはな、『正しくなかった』から苦しかったんだ」


「正しく……なかった……」


「メソメソしてても、間違いは正されない。苦しみを終わらすために、一緒に戦って恋を勝ち取ろうってことだよ」


そんなことを言われても、もちろん乗っかるつもりはない。


でも……ちょっとだけ心が揺れるのは、どうしてだろう。


「俺たちはな、運命なんだ」


あたしの心がピクンと震えた。


運命という言葉の響きが、波紋のように胸の奥を揺さぶって波打たせている。


運命。また、この言葉だ。
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