運命みたいに恋してる。
「ちょっと七海ちゃん。まさかそいつの言う通り、一海さんのことを傷つけるつもりじゃないでしょうね?」


「そんなことしないよ!」


あたしはブンブン首を横に振りながら、すぐに否定した。


「お姉ちゃんを傷つけるなんてこと、絶対にしたくない!」


「だよね。仮にあのふたりが、別れた後でアプローチするんなら話は別だけど、ラブラブなときに横からちょっかいを出すのは、ただの略奪行為だよ」


「う、うん」


「野蛮な犯罪行為だよ。理性ある文化人は、そんなことしちゃだめだよ」


「うん。わかってる」


ちゃんとわかってるよ。赤の他人ならまだしも、あたしたちは大切な家族なんだ。


自分の恋と引き換えに、お姉ちゃんの幸せを奪うような行為なんか絶対にできない。
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