32日日記
屋上のドアを開けると、風が私を吹き抜けた。
青く澄んだ空に、白い雲がかかっている。
私はそっと、フェンスに手を伸ばす。

__飛べたらいいのに…__
鳥みたいに自由に生きられたら、毎日毎日、学校に行かなくていいのに。
気楽に空を飛んでいるだけでいいのに。
どうして私は、人間に生まれてしまったの?
つまらない。
毎日、同じ時間に起きて、ご飯を食べて、顔を洗って、歯を磨いて、制服に着替えて、荷物を持って家を出て、授業を聞いて、お昼ご飯を食べて、また授業を聞いて、掃除をして、家に帰ってくる。
こんな人生、楽しくない。
家に帰っても「おかえり」なんて言葉はない。
だって、私には家族なんていないから。

でも、寂しくない。
辛くない。
悲しいなんて思ったことない。
これが私の“いつも”だから。
当たり前、だから。

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