32日日記
再び静まり返った屋上で、空を眺めていた。
気まずいし、授業に戻ろうかな。
私が立ち上がってスカートの汚れを叩いていると、平岡修太はまた起き上がった。
「ねぇ」
「なに?」
私はスカートを叩きながら返事をする。
「もう戻んのか?」
彼の意外な言葉に、手の動きが止まる。
「う、うん」
「そっか…」
何、この空気。
いまいち状況が掴めない。
大体、私が授業に戻ったところで平岡修太には関係ないし…
「修太、」
彼は続けた。
「俺のこと、修太って呼んで」
「え…ぁ、う、うん」
私が返事をすると、修太は笑った。
私に無邪気な笑顔を見せた。

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