おやすみ、先輩。また明日
電車に乗りこむ前に、わたしは宇佐美先輩を振り返った。
ヤンキー先輩は先に乗ってもう席へと向かってる。
言うなら今しかない。
「宇佐美先輩」
「なに? 早く乗んなよ」
「わたしはやっぱりヤンキー先輩のことが好きです」
「……へー。それは俺への宣戦布告?」
「なんで? だって宇佐美先輩はヤンキー先輩の味方でしょ?
じゃあ宇佐美先輩はわたしの敵なんかじゃないですよ」
わたしが笑ってそう言うと、宇佐美先輩はきょとんとした顔のあと、苦笑いして肩をすくめた。
「参ったね」という呟きが聞こえて、わたしはますます笑った。
軽くなったように感じる足で、ヤンキー先輩の元へと向かう。
「くるくる。何笑ってんだよ」
「えへへ。秘密!」
好きという気持ちが止められない。
多くを望むことはしないから、せめて彼が迷惑だと言うまで、このまま好きでいさせてほしい。
許してね、ヤンキー先輩。
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