おやすみ、先輩。また明日
「ちょっと杏~。ケータイばっかり見てないで、手伝いなさいよ」
「は~い」
キッチンからお母さんに呼ばれて、スマホを置いて手伝いに行く。
そのあと朝食を食べて後片付けをしたついでに、今日の3時のおやつをつくることにした。
冷蔵庫を漁っていると、お母さんが「またか」という目で見てきた。
勉強もしないでお菓子ばっかり作っている娘に呆れているらしい。
でもわたしが作ったものを食べるのもお母さんは好きだから、何も言わないんだけど。
「あ。ゴールドキウイある~。お母さん、使ってもいい?」
「いいけど、何作るの? あ、お姉ちゃんと優斗の分も作ってあげてよ」
受験生の姉と、思春期に入って扱いにくくなった弟に挟まれたわたしは、なるべくお母さんの負担にならないよう気をつけている。
姉が受験生じゃなくても、弟が思春期じゃなくても、これまでずっとそうしてきたんだけどね。
「はいはい。う~ん。夏っぽくゼリーかなあ」
甘みの強いゴールドキウイ、好きなんだよね。
パインもあるじゃん。
冷蔵庫には蓋をあけたばかりのサイダーがあったから、炭酸ゼリーを作ることにした。