おやすみ、先輩。また明日
なんだか、まるで恋人同士みたい。
人目を気にせずいちゃつくカップルっていうか。
実際はただの先輩後輩で、ヤンキー先輩はわたしみたいに意識したりはまったくないんだろうけど。
通学電車の中でも、学校でもなくて、ここが公園っていう場所だからかな。
それともお互い私服だからなのかな。
一気にヤンキー先輩との距離が縮まった気がした。
「似合うな。そういうのも」
「へっ?」
「いんじゃね」
少し照れくさそうに言って、ヤンキー先輩はアンコちゃんと一緒に歩き出す。
えーと……。
いまのって、わたしの服装を褒めてくれた?
改めて、自分の格好をチェックする。
散々悩んで選んだのは、爽やかなペールブルーのショートパンツと、レースのタンクトップ。
ドッグランだから、足元はスニーカーにして、長い髪はシュシュでひとまとめにした。
まさかヤンキー先輩に褒めてもらえるなんて。
うれしくて、わたしは跳ねるように走って大好きな背中を追いかけた。