おやすみ、先輩。また明日



ドッグランの敷地を、アンコちゃんのリードを握らせてもらいながら先輩と歩いて。

一周する頃にはもう、「これってデートみたい」と浮かれていた。


でもそれもしょうがない。


だってヤンキー先輩が時々、アンコちゃんが走りそうになったらわたしの手の上からリードを握ったりするし。

いつも朝、電車の中ではちょっとだるそうな顔で座っているのに、いまは太陽の下でずっとキラキラの笑顔振りまいてるし。


わたしだって浮かれたくもなるよ。




「そろそろ放すか」



アンコちゃんが場所に慣れてきたみたいで、ヤンキー先輩はリードを外した。

嬉しそうに駆けだしたアンちゃんだけど、先輩が声をかけるとちゃんと戻ってくるし、あまり遠くに行かない良い子だ。



「座るか、くるくる」


「うん。あそこのベンチ空いてるよ」



2人で小さなベンチに並んで腰かけると、腕が触れ合った。

直接、肌と肌がぴたりと。

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