おやすみ、先輩。また明日
「おい、何笑ってんだよ。失礼な奴だな。散歩くらいするわ。……つーか、ヤンキー先輩って何だよ。別に俺はヤンキーじゃねぇよ」
「えぇ? だって煙草吸ってるじゃないですか~。ピアスもしてるし、顔怖いし」
「顔怖いって悪口だろうが。煙草もピアスも、珍しくもねぇだろ。むしろ普通だ」
わたしの中の普通の人は、未成年の身で煙草を吸ったりしないんですよ。
とは言わないでおく。
わたしの普通と先輩の普通は、どうやらかなり違うらしい。
「じゃあ、煙草を吸わないわたしは普通じゃないんですか?」
「そりゃあお前、あれだ。真面目っつーんだ」
「真面目……かなあ? わたしの中の真面目のイメージは、眼鏡かけてて勉強ができる、学級委員長的な感じなんですけど」
「バカだなお前。そーいうのはガリ勉っつーんだよ」
ヤンキー先輩は至極真面目な顔でそう言い切った。
うん、わかった。
ヤンキー先輩の常識は偏見で出来ている。
わたしも人のこと言えないかもしれないけど。