おやすみ、先輩。また明日


突然ヤンキー先輩に名前を呼ばれて、わたしは反射的に返事をして立ち上がり、すぐにハッとした。


アンて、わたしじゃなくて、アンコちゃんのことじゃん!


びっくりしたし、恥ずかしいしで動けなくなる。



「……ぶっ」


「あ! ひどい先輩! 笑った!」


「だってお前、はいって……っ」



俯いて、お腹を抱えて震えるヤンキー先輩。


そ、そんなに笑うことないのに。



駆け戻ってきたアンちゃんの頭をぐりぐりと撫でて、ようやく先輩は目に涙を浮かべた顔を上げた。


楽しそうなそんな表情にもどきりとしちゃって。

今日は先輩、色んな表情を見せてくれるなあって嬉しくなる。

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