おやすみ、先輩。また明日
さっきの「アン」も、自分が呼ばれた気分に一瞬でもなれたってことで、得したと思うことにしよう。
あーあ。
先輩の声、録音したかった。
そして先輩専用の着信音にしたかった。
こんなこと考えるわたしって、ちょっと気持ち悪い?
「そろそろ行こうぜ、杏」
「はーい。……えっ!?」
「アンコもリードつけて行くぞー」
「せ、先輩! いま!」
「おら、さっさとしろー」
ニヤニヤ笑いながら、ヤンキー先輩はアンコちゃんを連れて先にランを出て行く。
先輩のいじわる。
でも、嬉しい。
わたしはにやける顔を抑えることができないまま、先輩の背中を追いかけた。