おやすみ、先輩。また明日
「ヤンキー先輩。次来るときも教えてね?」
「おー。じゃあ明後日」
「えっ! 明後日!?」
「何だよ。用事あんのか」
「ないよ! なんにもない! いつでも暇!」
必死で言うわたしに、ヤンキー先輩はおかしそうに笑う。
明後日だって。
そんなに早くまた会えるんだ。
次は来週かなーって勝手に予想してたから、とっても嬉しい。
なんだかご褒美もらった気分。
「先輩。うち、ここ」
家の前まで来て立ち止まると、ヤンキー先輩は一度うちを見上げてから、くしゃくしゃとわたしの頭を撫でた。
アンコちゃんがわたしを羨ましそうに見上げてる。
ふふふ。いいでしょ。
「送ってくれてありがと、ヤンキー先輩」
「おー。じゃあまた明後日な、くるくる」
「……うん。明後日また」
あーあ。
もう1回、「杏」って呼んでほしいなあ。
アンコちゃんと駅へと戻っていく背中を見送りながら、またしてもそんな贅沢なことを思うわたしは、完全に浮かれきっていた。
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