おやすみ、先輩。また明日
「藤が悪いんじゃん?」
「ああ?」
「お前が怪しい行動とってるから、麻美ちゃんが俺に泣きついてきたんだろ」
ヤンキー先輩の顔が強ばった。
わたしもこの暑さの中、ひやりとしたものを感じて鳥肌が立つ。
「麻美がお前に……?」
ヤンキー先輩の口から、彼女の名前が出たのを聞くのは初めてだった。
思っていた以上に、わたしの心は重たいダメージを負う。
「そ。いやー、女子ってなかなか鋭いよね。メールの返信が遅いとか、機嫌が良すぎるとか、出不精なのに頻繁に外出してるらしいとか。
聞けば怪しい点が出るわ出るわ。ま、藤がマヌケってのもあるんだろうけどねー」
ふざけた口調なのに、宇佐美先輩は笑っていない。
つまらなそうな、冷めた顔をしている。
「なんでそれで、あいつがお前に泣きつくんだよ」
「俺が藤の数少ないオトモダチだからでしょ」
「そういう意味じゃねぇ」