おやすみ、先輩。また明日
「あー。そりゃあ麻美ちゃんが麻美ちゃだからじゃないの。あのコは人に甘えるのが上手いよねぇ」
どこか馬鹿にしたような響きの声。
宇佐美先輩は、ヤンキー先輩の彼女をあまり良く思っていないのかな。
いや、そんなことよりも。
彼女にわたしとヤンキー先輩がここで会っていることを知られてしまったら、どうなるの?
ヤンキー先輩はキャップをとり、髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜてため息を零した。
「別にあいつが気にするようなことは何もない。報告でもなんでも好きにしろ」
投げやりにそう言って、ヤンキー先輩はアンコちゃんを連れて先にドッグランへと入っていった。
わたしは、動けずその背中を見送る。
何もない、か。
そうだよね。
わたしたちは何もしてない。