おやすみ、先輩。また明日
愛情たっぷりな表情でアンコちゃんを見つめるヤンキー先輩に癒されていると、
不意に大きなため息が聞こえてきて、すぐ横にいた宇佐美先輩が立ち上がった。
「あほらし。俺帰るね~」
「あ? 食い逃げかお前」
「人聞き悪いなあ。美味しかったよ、杏ちゃん。ありがとね」
ふわりと花が綻ぶような笑みを浮かべる先輩に、わたしは驚きながらこくこくと頷く。
なんだか今日は、宇佐美先輩が変だ。
普通に優しい人みたいだ。
って、わたしかなり失礼なこと思ってる。
「お礼に今日のことは、麻美ちゃんにはテキトーに話して誤魔化しておくよ」
「え……」
「だからまた今度、俺にも作ってね」
前に手作りは苦手とか怖いとか言ってたのに?