おやすみ、先輩。また明日
また優しくわたしの髪を撫でて、宇佐美先輩はひとり帰っていった。
あの爽やかな柑橘系の香りだけ残して。
残されたわたしたちの間に、少し気まずい空気が流れる。
そう感じているのはわたしだけかな。
「……宇佐美にまた何か言われたか?」
「え? ううん、そんなことないよ。それに……」
「それに?」
「宇佐美先輩はヤンキー先輩の味方だから、大丈夫だよ」
わたしの言葉に、ヤンキー先輩はちょっと困ったような顔になった。
否定したそうな、照れているような。
どう返したらいいのかわからないって感じで、ちょっとおかしい。
ヤンキー先輩だって、「うぜぇぞウザミ」なんて挨拶みたいに言ってるけど、
宇佐美先輩のことなんだかんだ、友だちとして大切に思ってるもんね。