おやすみ、先輩。また明日

そりゃあそうだよ!

こんな人ごみの中でちょっとでも離れたら、見失うに決まってる!


とりあえずうろうろと近くを探してみたけれど、見つからない。



「そうだ、ケータイ!」



電話すればいいんだよ。

こういう時に文明の利器を使わないでどうするの。


けれど、須賀ちゃんに電話をしても、他の友だちに電話をしても繋がらない。

みんな多分着信に気付いてないんだ。


どうしよう。

鳥居のところまで戻ろうか。


うん、そうしよう!



そう決めて振り返った途端、後ろから着ていた人とぶつかってしまった。



「きゃっ」


「わっ! す、すみません!」



反射で頭を下げると、自分のレースのシャツの胸元に、べっとりと茶色い汚れがついていて、思わず「あー!」と声を上げてしまう。


ぶつかった拍子にたこ焼き落としちゃったんだ!

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